働き方ガイド

2022/09/09

年収の壁は結局いくら?パートで働き損しないラインと2026年の最新ルール

「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」。パートで働いていると何度も耳にしますが、数字が多く、結局どこを気にすればよいのか分かりにくいものです。

年収の壁には、税金に関する壁と社会保険に関する壁があります。両者は仕組みが異なるため、ひとまとめにして考えると、必要以上にシフトを減らしたり、思わぬタイミングで扶養から外れたりすることがあります。

この記事の制度情報は2026年8月21日時点です。
税・社会保険の適用は、本人と配偶者の収入、勤務先の規模、雇用契約、加入している健康保険によって変わります。最終判断は勤務先の担当者、年金事務所、税務署などにご確認ください。

そもそも「年収の壁」とは何のこと?

年収の壁について考える女性

年収の壁とは、収入が一定額を超えたときに、税金や社会保険の負担、配偶者側の控除などが変わる境界線のことです。

税金の壁と社会保険の壁は別物

税金の壁を超えた場合、所得税は原則として課税対象となる所得に対して計算されます。壁を1円超えただけで、増えた収入以上の所得税が一気にかかる仕組みではありません。

一方の社会保険の壁では、加入条件を満たすと健康保険料と厚生年金保険料の負担が始まり、加入直後は手取りが減ることがあります。「働き損」を考えるときに、特に確認したいのはこちらです。

2026年に確認したい3つのライン

  • 自分に所得税がかかり始めるライン
  • 配偶者が受ける配偶者(特別)控除が変わるライン
  • 自分で社会保険に加入するライン(いわゆる106万円・130万円の壁)

同じ年収でも、どの壁が関係するかは人によって異なります。まず「税金」と「社会保険」を分けて確認しましょう。

【一覧表】2026年の年収の壁

確認する壁 2026年の目安 ポイント
本人の所得税 給与収入178万円以下 給与収入のみで、ほかに所得がない場合の目安。令和8年分から適用
配偶者(特別)控除 給与収入169万円以下 一定の要件を満たす場合、配偶者が最大38万円の控除を受けられる目安
短時間労働者の社会保険 週20時間以上など 月額8.8万円以上の賃金要件は2026年10月に撤廃予定。勤務先規模などの条件あり
社会保険の扶養 見込み年収130万円未満 2026年4月から、一定の場合は労働契約の内容に基づいて年間収入を判定

上表は代表的な目安です。配偶者本人の所得、年齢、勤務先、健康保険の認定基準などによって適用が変わります。

税金の壁:178万円を超えても手取りが急減するわけではない

2026年分から、給与収入のみでほかに所得がない場合、所得税がかからない給与収入の目安は178万円以下となりました。住民税は別の基準で計算されるため、「所得税がかからない=税金が一切かからない」ではない点に注意が必要です。

所得税の最新条件は、国税庁「家族と税」で確認できます。

配偶者の税金が増え始めるライン

パート収入が169万円以下で一定の要件を満たす場合、配偶者は最大38万円の配偶者(特別)控除を受けられます。169万円を超えたら控除が突然ゼロになるのではなく、収入に応じて段階的に減っていきます。

配偶者側の合計所得金額によって控除額は変わり、合計所得金額が1,000万円を超える場合は対象外です。世帯での影響は、年末調整の資料とあわせて確認してください。

見落としやすい「会社の家族手当」

税制とは別に確認したいのが、配偶者の勤務先から支給される家族手当・配偶者手当です。支給条件は会社ごとに異なり、「配偶者の年収○万円以下」など独自の基準が設けられている場合があります。

年収を増やす前に、配偶者の就業規則や給与規程も確認しておきましょう。

社会保険の壁:2026年は「106万円」より週20時間を確認

勤務時間と収入を確認する様子

2026年10月に月額8.8万円の賃金要件が撤廃予定

2026年9月までは、従業員数51人以上の企業で働く短時間労働者が、週の所定労働時間20時間以上、所定内賃金月額8.8万円以上、学生ではない、2か月を超える雇用の見込みがある、といった要件を満たすと、勤務先の社会保険の加入対象になります。

2026年10月には月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定です。以後は「年収106万円未満に抑える」よりも、週の所定労働時間や勤務先の規模を確認することが重要になります。詳しい加入条件は、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトで確認できます。

130万円の壁は、労働契約に基づく判定も確認

勤務先の社会保険に加入しない働き方でも、見込み年収が130万円以上になると、原則として配偶者の社会保険の扶養から外れます。ただし、年収130万円未満でも勤務先で社会保険の加入条件を満たす場合は、扶養のままにはできません。

2026年4月からは、労働条件通知書などに記載された賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、ほかに収入が見込まれないなどの要件を満たす場合、原則として被扶養者として認定する取り扱いが始まりました。諸手当や賞与も含まれ、契約内容が不明確な場合はこの取り扱いを利用できないことがあります。詳細は日本年金機構の案内をご確認ください。

交通費・賞与・掛け持ちは「どの判定か」を分けて考える

収入に何を含めるかは、所得税、短時間労働者の社会保険加入、被扶養者認定で異なります。「交通費を含める・含めない」と一律に判断せず、どの制度の判定をしているかを確認してください。

給与明細、労働条件通知書、配偶者の会社の規程をそろえたうえで、勤務先または加入している健康保険に確認すると安心です。

結局、いくらを目指すのが損しないのか

すべての家庭に共通する「この年収なら必ず得」という金額はありません。保険料率、勤務先の条件、配偶者控除、家族手当などで手取りが変わるためです。

検討するときは、次の順番で整理しましょう。

  1. 勤務先の社会保険加入条件を確認する
  2. 週の所定労働時間と年間の見込み収入を確認する
  3. 配偶者の家族手当・配偶者手当の条件を確認する
  4. 社会保険加入後の手取りと保障を比較する

社会保険に加入すると保険料負担が生じますが、厚生年金が上乗せされ、病気やけがで休んだ場合の傷病手当金、出産時の出産手当金など、保障が厚くなる面もあります。目先の手取りだけでなく、今後の働き方と保障を含めて比較してください。

厚生労働省の手取り額の変化についてでは、条件を入力して概算を確認できます。

働き方を調整しやすい仕事という選択肢

仕事と家庭を両立する女性

年収の壁を考えるときは、勤務日数や時間、将来の働き方を相談しやすい職場かどうかも大切です。収入の見通しが立てやすい職場なら、扶養内に収める場合も、社会保険に加入して働く場合も、自分で選択しやすくなります。

いしど式では、教室や職種ごとにさまざまな働き方があります。実際の雇用形態や勤務条件は求人によって異なるため、募集内容をご確認ください。

子育てと仕事を両立する働き方については、管理職ワーキングマザーが考える理想の職場も参考になります。仕事内容を知りたい方は、学校の先生の1日のスケジュールもあわせてご覧ください。

まとめ

  • 2026年分は、給与収入のみなら所得税がかからない目安は178万円以下
  • 一定の要件を満たす場合、配偶者が最大額の配偶者(特別)控除を受けられる給与収入の目安は169万円以下
  • 短時間労働者の月額8.8万円以上という賃金要件は2026年10月に撤廃予定
  • 130万円の扶養基準は継続。2026年4月から労働契約に基づく認定方法が追加
  • 損しない金額は一律ではなく、勤務先の条件と世帯全体で確認する

制度は毎年見直されます。働く時間を変える前に、勤務先、配偶者の会社、健康保険の窓口で最新条件を確認し、年末調整の時期に翌年の働き方を見直す習慣をつけましょう。

参考・出典

以下の公的機関の情報を2026年8月21日に確認して作成しています。

制度改正や個別条件により結果が変わる場合があります。実際の適用は勤務先、加入している健康保険、年金事務所、税務署などへご確認ください。

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