
| 【取材概要】 大会名:第11回全国そろばんコンクール決勝大会 主催:一般財団法人 全国珠算連盟 開催日:2026年7月12日(日) 会場:幕張メッセ |
目次
この記事でわかること
- ✓ そろばんを続けた子どもに、どんな変化が起きるのか
- ✓ 思うような結果が出なかったとき、子どもはどう立ち直るのか
- ✓ 家庭や教室で、大人は子どものどこを見ているのか
第11回全国そろばんコンクール決勝大会の会場で、各教室の先生から「日頃の頑張りを、ぜひ紹介したい」と紹介された6名の生徒さんと、その保護者に話を聞きました。得意な種目も、これまで歩んできた道のりも、次に目指す目標も一人ひとり違います。
今回お伝えしたいのは、順位や賞そのものではなく、そこへ向かってきた時間です。できなかった問題ができるようになったこと、苦手から逃げずに練習を続けたこと、悔しい結果のあとにもう一度そろばんへ向かったこと。本人と家族の言葉から見えてきた、6つの成長の物語を紹介します。
大会の様子はこちらをチェック:全国そろばんコンクール大会レポート
「できなかった」が「できた」に変わる。 その小さな積み重ねが、子どもたちの次の挑戦を支えています。
1|悔しくても、すぐに「次」を向けるようになった(はなさん・小学3年生)

「計算が速くなって、算数のテストでいつも100点を取れます」。そう教えてくれた生徒さんが、そろばんをしていて楽しいと感じるのは、トロフィーを目指して練習している時間です。今は次の段位取得に向けて練習中で、その先にはさらに上の目標も見据えています。結果だけでなく、目指すものがあるから練習そのものを楽しめる。その気持ちが、毎日の積み重ねにつながっています。
保護者が大きな成長として挙げたのは、気持ちの切り替えです。以前は悔しいことがあると半日から一日落ち込むこともありましたが、今では「次、頑張ろう」と早く前を向けるようになりました。小さいころからスピードと正確さが求められる大会を経験してきたことで、学校のテストなどでは緊張しすぎず、落ち着いて取り組めるようにもなったそうです。
旅行の予定と大会が重なったときも、本人は迷わず大会への出場を選びました。入賞が難しいと感じるほどレベルの高い大会にも、自分から果敢に挑戦する。そして、出ると決めたら毎日コツコツ練習する。その迷いのない姿を、家族は頼もしく見守っています。
2|できなかった桁が入った。だから、もっと挑戦したい(あおいさん・小学5年生)

たくさん練習を重ね、大会へ出場できるようになった生徒さん。大会でよい結果が出たときには、「練習を頑張ってよかった」と感じるといいます。それと同じくらいうれしいのが、これまでできなかったことができるようになる瞬間です。読上算は、読み上げられる数字を聞き取ってそろばんで計算していく競技です。それまで入らなかった桁が入るようになった経験は、自分の努力が力に変わったことを実感できる出来事でした。
この半年ほどは、自分から教室へ通う回数と練習時間を増やしました。競技へ本格的に取り組むきっかけは、先生から声をかけてもらったことでした。初めは大会に出ること自体が目標でしたが、教室で高い成績を出す上級生や仲間から刺激を受けるうちに、「もっと頑張りたい」「この大会に出たい」と、自分で次の目標をつくるようになりました。
次の目標はクリスマスカップへの出場。なかでも英語読上算を頑張りたいと話してくれました。目標から逆算して、どんな練習をどれくらい行うかまで考えられるようになったこと、そして長い時間でも集中して取り組めるようになったことに、保護者は日々の成長を感じています。
3|目標は世界一。数字が好きな気持ちを、大きな夢につなげる(たくまさん・小学3年生)

幼いころから数字が大好きで、年長のころにそろばんを始めた生徒さん。普段は元気いっぱいでも、そろばんを前にするとスイッチが入り、1年生のときには自分から選手になりたいと申し出ました。そろばんを始めてよかったことを尋ねると、真っ先に挙げてくれたのは「うれしいという気持ちを持てるようになったこと」でした。大会でトロフィーやメダルを手にする喜びを知り、今では「世界一になりたい」という大きな目標を掲げています。
最初に目標としていたのは、4歳上のお兄さんでした。同じ教室に通う背中を追いかけて始めたそろばんですが、今はその先にある世界一を目標に見据えています。保護者自身も幼いころにそろばんを習い、今でも計算するときには頭の中に珠が浮かぶそうです【暗算とは|珠算式暗算の仕組み・効果・やり方をやさしく解説 】。その便利さを子どもにも身につけてほしいという思いが、家族でそろばんを続けるきっかけになりました。
練習は教室や自宅だけに限りません。買い物中に合計金額を素早く計算したり、レシートを受け取って暗算が合っているか確かめたりと、日常の中でも数字を楽しんでいます。そろばんを通して身についた集中力と忍耐力は、勉強やピアノ、習字にも生かされているそうです。学年や学校の違う仲間が増えたことも、家族が「習わせてよかった」と感じる大切な変化になっています。
4|得意な読上算を、もっと伸ばしたい(はなさん・小学4年生)

学校の算数で計算を速くできることや、掛け算を早い時期から理解できたことに、そろばんを習ってよかったと感じている生徒さん。自分の得意種目として挙げてくれたのは読上算です。大会でも答えが書けると、回答用紙をまっすぐに掲げて挑戦しました。次は読上算をさらに磨き、もっとよい順位、大きなトロフィーを目指します。
保護者が褒めたいのは、難しい課題にぶつかっても、くじけずに取り組むところです。大会前には通常の授業に加えて特訓することもありましたが、先生の期待に応えようと、いつも前向きな気持ちで教室へ通いました。すぐに合格できない検定や、なかなか正解できない問題にも、少しずつ、コツコツと向き合っています。
「受かりたい」「賞状やトロフィーを取りたい」という目標が、毎日の練習を進める力になっています。何か一つに打ち込み、できるまで続けること。そして、頑張ること自体を楽しめるようになった姿に、家族はそろばんを通した成長を感じています。
5|長い時間でも集中できる。それが自信になった(ゆうまさん・小学2年生)

「計算が速くなった」。そろばんを始めてよかったこととして、生徒さんが最初に教えてくれた言葉です。学校のテストでも計算を早く終えられるようになり、得意なことがあるという実感が自信につながっています。そろばんが楽しいと感じるのは、教室で集めている妖怪カードを目指して練習しているとき。次にほしいカードも、もう決まっているそうです。大会では読上暗算にも挑戦。次はさらに力を伸ばし、新しい目標へ進もうとしています。
保護者が驚いたのは、集中できる時間が長くなったことでした。以前は集中が続きにくい場面もありましたが、今では大会の長い時間もしっかりと競技に向き合えます。計算力が伸びたことで学校生活にも自信が生まれ、毎日をより楽しく過ごせるようになりました。
自信がついたことで、「やってみたい」という気持ちも増えています。英語で読み上げられる数字を聞いて計算するような、これまでにない課題にも少しずつ挑戦中です。得意なことを足がかりに、新しいことへ一歩踏み出してほしいと、家族はこれからの成長を楽しみにしています。
6|苦手から逃げず、得意に変えるまで続ける(いふうさん・小学5年生)

計算が速くなったことで、学校の算数では基礎問題を早く終え、考える問題にじっくり時間を使えるようになった生徒さん。大会では力を発揮し、上位入賞という結果も得ました。しかし、保護者が何より評価しているのは順位ではなく、苦手なことから逃げずに向き合う姿勢です。
以前は読上算に苦手意識がありました。それでも毎日練習を重ね、少しずつできるようになり、苦手を乗り越えてきました。本人が自分に求める水準は高く、思うようにいかないときには強く落ち込んでしまう時期があったそうです。それでも練習をやめず、数多くの大会を経験してきました。
大会で思うような結果が出ないときには、涙をこらえながら最後までやり切ったこともあります。スタートは周りよりゆっくりだったとしても、諦めずに続けたことで、今では自分から自信を持って行動できるようになりました。悔しさを「次はもっと頑張ろう」という力に変えられることが、そろばんで得た大きな成長です。
まとめ|過程を見てくれる大人の存在
今回取材した6名は、年齢も経験も、得意な競技も同じではありません。トロフィーを目標にする子、できなかったことができる喜びを大切にする子、世界一という夢を口にする子。大会で結果が出た経験も、悔しさが残った経験も、それぞれの成長の途中にあります。
共通していたのは、周りの大人が結果だけでなく、その過程をよく見ていたことです。自分で練習を増やしたこと、難しい問題から逃げなかったこと、落ち込んだあとに気持ちを切り替えたこと。そうした変化を家族や先生が見つけて言葉にすることで、子どもは「頑張ったからできるようになった」という実感を持てるのではないでしょうか。
そろばんで身につくのは、計算の速さだけではありません。目標を決め、練習を重ね、本番に挑み、うれしさも悔しさも次の一歩へつなげていく力があります。6名の言葉と表情からは、それぞれのペースで前へ進む、子どもたちの頼もしさが伝わってきました。
















