教育・子育て

2026/09/04

0〜3歳の親子の関わりが、その後の学びを決める|いしど式代表 沼田紀代美 × 育児のミカタ 三上先生対談

「うちの子、まだお座りができない」「同じ月齢のお友達はもうできているのに」。初めての子育てでは、どうしても“できていないところ”に目が向いてしまうものです。

まだ文字も数も教える時期ではない0〜3歳。この時期の親子の関わり方が、その後の学ぶ力にどうつながるのか。

このたび、東京・自由が丘の「こどもでぱーと」に、いしど式そろばん教室と、0〜3歳の親子教室「できたっち」が同時に開講します。一見まったく違う二つが同じ場所に並ぶことになったのは、教育の根っこにある考え方が驚くほど近かったからでした。

株式会社イシド代表取締役社長・沼田紀代美と、株式会社育児のミカタ代表取締役社長・三上千賀先生。これからの子どもに本当に必要な力について、二人に語り合ってもらいました。

プロフィール

<沼田紀代美(株式会社イシド 代表取締役社長)>

1969年生まれ。幼稚園や障がい児施設に勤務したのち、結婚を機に専業主婦となる。その後1998年12月、株式会社イシドに入社。複数の教室での勤務を経て、入社半年で教室長に就任。また「インターネットそろばん学校」の開発責任者に就任するとともにフランチャイズ事業にも携わる。働き方改革と女性活躍、IT化促進による業務改善などの取り組みが評価され、各種賞を受賞。2009年常務取締役就任、2011年代表取締役社長就任。

<三上千賀(株式会社育児のミカタ 代表取締役社長)>

東京三菱銀行(現:三菱UFJ銀行)でシステム開発に従事した後、妊娠を機に退職。自身の子育て経験をきっかけに2006年から子育て支援活動を始め、2013年に幼稚園向け派遣型親子教室事業を開始した。2016年に一般社団法人日本ふれあい育児協会を設立し、2024年に株式会社育児のミカタを設立。現在は同社代表取締役社長として、0〜2歳児と保護者向けの親子教室などを通じた園の子育て支援を展開している。2016年ちば起業家大賞奨励賞受賞。

この記事でわかること

  • ・まだ何かを教える時期ではない0〜3歳が、なぜその後の学びの土台になるのか
  • ・「褒める」と「認める」の違いと、今日から使える声かけ
  • ・幼児期の小さな「できた」が、そろばんの学びにどうつながるのか

「まだ何も教えない」0〜3歳が、その後の学びの土台をつくる

沼田代表:まず「育児のミカタ」と「できたっち」について教えていただけますか。

三上先生:もともと一般社団法人日本ふれあい育児協会として2016年から、幼稚園やこども園で入園前のお子さん向けの親子教室を運営してきました。今は関東を中心に約50園、10年間で延べ3万人ほどの親子に通っていただいています。

その中で「初めての子育てでどうしていいかわからない」「家で子どもとどう過ごせばいいのか」という声を本当にたくさんいただいてきました。その思いを詰め込んだのが、自由が丘の直営教室「できたっち」です。

沼田:「できたっち」は0〜3歳が対象ですよね。まだ何かを教えるイメージがない時期に、あえて伺います。なぜこの時期が大切なのでしょうか。

三上:大事にしているのは3つです。1つ目は語彙力と地頭の土台づくり。豊かな言葉がけで、いろんな言葉を覚えたり五感で感じたりすることが、思考の芽を育てます。2つ目は一生折れない心と好奇心。3つ目は、我が子との関わり方です。

沼田:なるほど。早く文字が書ける、計算ができるということより、その前にある学ぶ土台をつくる時期なんですね。

育児のミカタ代表 三上千賀先生

「失敗させない」育児が奪ってしまう、子どもの「もっとやりたい」

沼田:「失敗させない」という教育観が、少し強まりすぎましたよね。少子化で、ママだけでなくパパも祖父母も一人のお子さんに注いでしまう。大切にするがゆえに、一挙手一投足すべて正しくさせようとする。すると失敗する経験そのものがなくなり、みんなに見られている中で失敗できない、という緊張感を子ども自身も持ってしまいます。

三上:飛び出していってほしいんですよね。小さいうちにいろんな経験をして、触ったり、積み上げたものが壊れたり。それも学びです。そこから「もっとやってやろう」「次はどうしたらいいかな」と、赤ちゃんでも考える。いわゆる非認知能力です。

お受験や進学は数値で見えるので、そこばかりに目が行きがちです。でも子ども自身が「やってみたい」と思って挑戦することが、自分の足で歩くための第一歩になる。守られることからではなく、飛び出すところから始まります。だからお母さんには、過干渉にならない関わり方を学んでほしいんです。

沼田:私たちはそろばん教室ですが、親御さんにもできるだけ一緒に教室に入っていただきたいと考えています。お子さんをどう見るか、どう関わるか。そろばんを通じて、親御さんにも一緒に学んでほしいからです。教育コンセプトが、育児のミカタさんと非常に近いんですね。

「褒める」と「認める」は違う。今日から使える声かけの考え方

沼田:小さな「できた」を積み重ねると、子どもはどう変わっていきますか。

三上:親の関わり方次第で、子どもはすごく変わります。「できたっち」という名前ですが、できたことだけがゴールだとは思っていません。できた過程も、失敗した時も、すべて経験です。だから結果だけを褒めるのではなく、「自分でやってみたね」「最後までやったね」と伝えたい。

沼田:お母さんに「褒めてください」と言うと「褒めることがないんです」と返ってくる。でもそれは、褒めようと思うから褒められないんです。「宿題ができたら褒めよう」と思っていると、できる前に子どもは投げ出してしまう。だから、やり始めたら「宿題やってるね」でいい。今、何かができているねと声に出して認める。

三上:褒めると認めるは、似ているようで違いますよね。

沼田:まだ言葉を十分に持たない乳幼児でも、認めてもらえているという感覚は伝わります。この親子の関係性が、人としての土台になる。

三上:お母さんは自分でお腹を痛めて産んでいるので、どうしても分身のような気持ちになるんです。生まれた時は「生まれてきてくれてありがとう」だけだったのに、いつの間にか「お友達はできるのに、うちの子はまだお座りができない」と比べてしまう。できていないところばかりに目が行ってしまうんですね。

沼田:日本人は特に、我が子への愛情表現が足りないのかもしれません。人前だと謙遜が先に立つ。でも、褒められたら「ありがとう」でいいんです。そして子どもに「よかったね、褒めてもらえたよ」と伝える。

自己肯定感が高まると、お子さんの積極性は変わります。できないと思って尻込みするより、自分はできると思って挑戦する。この一歩が大事なんです。

三上:自己有用感、自己効力感も同じくらい大切です。人から求められている、そのために頑張りたいという気持ちも、一緒に育ててほしいと思います。

株式会社イシド代表 沼田紀代美

いしど式が大切にしている「認める」ということ

いしど式そろばん教室では、「イメージコントロール法」という手法を取り入れています。前向きな言葉がけで自己肯定感を養うというもので、心だけでなく身体への影響も大きいと言われています。

大人が「あなたはダメな子」「これができていない」というマイナスの言葉を投げかけると、子どもは「自分はどうせできないんだ」と感じ、本来の力を発揮できません。だから私たち教師は、“できないこと”を強調するのではなく、「ここができているね」「あなたのいいところはここだね」と、良い部分を見つけて伸ばすことを役割としています。

動画を見せる時間より大切な、目を合わせる数分間

沼田:親子の関わりで間違えてはいけないのは、大事なのは時間の長さではないということです。短くていいので、目を合わせて会話をする時間が要る。

不安に思うのは、「うちの子は0歳から動画配信サービスを自分で操作して、見ている間は大人しいから楽です」と安心してしまう親御さんがいることです。一定の動作とタッチさえできれば見られるので、子どもの発達から見れば決して難しいことではありません。

受動的に流れてくる映像を見ることと、自分から能動的に働きかけることはまったく違います。赤ちゃんが泣いた時にお母さんが「どうしたの」と抱き上げてくれる。ここがアイデンティティを育む一番の基礎です。それが薄れている気がしています。

三上:知育の部分ももちろん必要ですが、0〜2歳はとにかく愛着関係。その一言に尽きます。そこはカリキュラムにしっかり入れています。

あとは、お母さんも楽しむこと。子どもだけが楽しい教室では親が続きません。私は理系出身なのですが、理科は色が変わる、動きが始まると「わあ」と気づきやすいんです。その理科の目が、結果的に五感を育むことにつながります。リトミックやベビーサインなど専門的な要素も入れています。

そうすると「楽しかったね」と声かけが膨らんで、親子の会話が豊かになる。そこがうちらしさかなと思います。

子どもの学びについて語り合う沼田紀代美と三上千賀先生

親の役割は「先回り」ではなく「種まき」

沼田:家庭で今日からできることを一つ挙げるとしたら、何でしょう。

三上:寝る前で全然いいんです。「今日この子はどんなことが成長したかな」「昨日との違いは」と、一つだけ振り返ってみてほしい。ワクワクした目で見ていたな、昨日より少し長く歩いたな。本当に小さなことでいい。できないところではなく「できた」を発見してもらいたいんです。

沼田:ご相談に「こうすればいいですよ」とお答えすると、「そんな簡単なことでいいんですか」と言われます。でも特別なことをする必要はないんです。しかもその「できたこと」は、一歩先に進んだことでなくていい。今日はよく笑ってくれたな、機嫌が良かったな。それでいいと思います。

三上:親がやることは、先回りではなく種まきだと思っていて。

沼田:いい言葉ですね。

三上:親は少し早く生まれている分、経験値を持っています。でもその経験値で囲いをつくるのではなく、いろんな種をまいた中から得意を伸ばし、逆に枠を外してあげる。

ご飯一つでも、大人はきれいに食べてほしい。でも子どもは五感で学んでいるので、触りたい、混ぜたい。それは遊びに置き換えてあげると、興味と好奇心を満たせます。教室に来ると、工作から音楽遊びまでいろんな面から「この子の今の興味はここなんだ」と発見できる。私はビュッフェという言葉が好きで、少しずつ試して、好きが見つかったらおかわりすればいいと思っています。

三上先生に聞いた、保護者にやめてほしい3つのこと

対談とは別に、三上先生から保護者へ向けたポイントを3つ伺いました。

①「早くして」と急かさない

子どもが考える、試す、やってみる。その経験を奪わないでください。できるまでの時間も、育ちの時間です。

②「すごい」「えらい」だけで終わらせない

結果より、「自分でできたね」「自分でやってみたね」と行動を言葉にする。具体的に認める関わりをしましょう。

③ 泣く・怒るを「困った行動」と決めつけない

小さな子は、まだ気持ちをうまく表現できません。「泣かないで」「どうしてそんなことするの」より、「悔しかったね」「やりたかったね」と、まず気持ちを言葉に。感情を認識して名前をつけることは、自己を育てる土台になります。

0〜3歳の小さな「できた」が、そろばんの学びにつながる

沼田:そろばんは計算力というイメージがありますが、一番大事にしてほしいのは自己肯定感と、できるようになることでの挑戦意欲、折れない心です。これに欠かせないのが親子の関わりなんですね。

教室に来ていただくのは週に数回、時間にして数時間。そこでの学びを家庭に持ち帰っていただきたい。3歳4歳からではなく0歳・1歳・2歳で親子の関わりが変わると、もっと幸せな子どもが増えるし、何よりパパ・ママの子育ての楽しさが増えると思うんです。

三上:いしど式は何歳までですか。

沼田:80歳を超える方も通っていただいています。

三上:同じ思いの中でやらせていただけるのは、本当に楽しみです。

「できるようになるまでやる」いしど式のスモールステップ

いしど式そろばん教室は、一人ひとりのペースに合わせた「個別対応教育」と、少しずつ階段を上るように進む「スモールステップ」を柱にしています。

一斉指導では、周りができるのに自分はできないという劣等感が生まれがちです。いしど式では、わかるようになるまで教える。丸をたくさんもらえるから嬉しくなり、「できるようになるって楽しい」と感じられる。この繰り返しが、次の挑戦への意欲につながっていきます。

いしど式と育児のミカタの教育理念を語る対談

自由が丘を、親子が「できた」を積み重ねる場所に

沼田:この場所を、将来どんな場所にしていきたいですか。

三上:うちの理念は「ママからママへ、ママから家族へ。笑顔がつながる温かい社会をつくる」です。ここに来たことで、親も子も土台をしっかり育んで自分らしく生きていける。そんなフラッグシップの場所にしたいと思っています。

沼田:同じ館内にそろばんと「できたっち」がある。単に2つの教室が同じ場所にある、ということではないですよね。

三上:親も子も「できた」を積み重ね、大きくなったら自分で挑戦して、また積み重ねる。その循環をつくりたいんです。

沼田:いしど式の教育理念は「夢を育てる」です。夢を持つには、まず「やればできる」という自信と、「できることは楽しい」という挑戦する気持ちが要る。それを0歳から「できたっち」で育み、いしど式で開花させていく。夢にワクワクする大人が増えれば、社会はもっと良くなると思っています。

「これでいいのかな」と悩む保護者の方へ

沼田:最後に、「これでいいのかな」と悩んでいる保護者の方へメッセージをお願いします。

三上:まず、自分自身が子育てを頑張っていることを認めてほしいと思います。育児は24時間365日。交代制の仕事でさえ休みがあるのに、それを一人、あるいは二人でやっている。ワンオペのこともある。うまくいかなくて当たり前なんです。

今はできなくていい。できていないことも含めて、「頑張ってる、私」と自分を認めてあげてください。そのうえで、その困りごとを解決しに「できたっち」に来ていただけたら。全力で講座をやらせていただきます。笑顔にしてお返しします。

沼田:横のパパ・ママとのつながりもそうですし、我が子の見方が変わることで、毎日にゆとりが生まれる場所になったらいいですね。

大切なのは、人よりできることではなく「できるようになる経験」

沼田:今日改めて思ったのは、大切なのは最初からできることでも、人よりできることでもなく、どんな経験をするかということです。そしてその経験は、大きなことでなくていい。五感を通して初めて触れるものから学ぶこと、ちょっとできるようになった喜び。それが人を育てるのだと思います。

そろばん教室でも、一問解けて「できた、やったね」。これを繰り返すと、数ヶ月で変わります。引っ込み思案だったお子さんが、変わっていくんですよ。

小さな「できた」を大人が見つけ、喜ぶ。その積み重ねが「やってみたい」「自分ならできる」につながっていく。自由が丘でも、たくさんの「できた」を生み出していきたいと思います。

<自由が丘「こどもでぱーと」について>

自由が丘こどもでぱーとの、いしど式そろばん教室と親子教室できたっち

所在地・開講情報、各教室の体験申込先は以下をご確認ください。

所在地:
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘一丁目29番1号 JIYUGAOKA MUSE SQUARE 5F(自由が丘駅徒歩1分)

開講日:
2026年10月1日(木)

いしど式そろばん教室:
3歳(数字の読み書きができるなどの条件あり)〜大人。水・金曜15:40〜19:00、土曜14:30〜17:00(各50分)。体験・入学説明会:https://room.ishido-soroban.com/spot/1191107

親子教室「できたっち」:
0〜3歳の親子向け。0歳児・1歳児・2歳児の年齢別クラスで、火・土曜に各日4枠を予定。体験会対象は0〜2歳。体験予約:https://dekitouch.ikujino-mikata.co.jp/trial-lesson/

お問い合わせ:
いしど式そろばん自由が丘教室 050-1724-7488
「できたっち」公式サイト https://dekitouch.ikujino-mikata.co.jp/

小さな「できた」を積み重ねて、自分から挑戦できる子に。いしど式そろばん教室では、一人ひとりのペースに合わせた個別対応とスモールステップで、お子さんが「やればできる」を実感できる学習を行っています。全国の教室のほか、ご自宅から受けられるオンラインでも学べます。まずは体験学習で、教室の雰囲気をのぞいてみてください。

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