4歳からそろばんを始め、この度初めて暗算世界大会(暗算ワールドカップ)に出場した、千葉 彦さん。
わずか3ヶ月の集中練習で世界レベルに到達した千葉さんに、そろばん学習の魅力や家族のサポートについて詳しくお聞きしました。
目次
世界大会への挑戦:短期間での飛躍
ーー今回、世界大会に出場されたきっかけを教えてください。
千葉さん: 実は6年前から憧れていた舞台なんです。僕と同じ大会に出ていたライバルたちが、先に世界へ挑戦、活躍している姿を見て、「いつか自分も行きたいな」と思っていました。先生からお声掛けがあり、自分の憧れの道でもあったので、すぐに挑戦したいと思って連絡させていただきました。
5月初めにお声掛けがあって、実際に練習を始めたのが6月半ばぐらいなので、3ヶ月間ぐらいで大会に向けた準備をしました。それほど長い期間ではありませんでしたが、その3ヶ月は本気で練習に打ち込みました。
短期間で大会用の脳みそに切り替える準備は、とても大変でした。最初の2ヶ月間はスピードを意識した練習で、とりあえず問題数を増やして上位に食い込めるように練習しました。最後の1ヶ月ぐらいは正確率を意識して、なるべく誤答が減らせるような練習を心がけました。
【学習における目標設定のヒントは】
短期間で成果を出すためには、段階的に目標を設定することが効果的です。今回千葉さんは、「まずはスピード、次に正確性」というように、段階を踏んで取り組みましたが、このようにスモールステップで段階を踏むことで、効率的に上達を目指せます。
これはお子さんの習い事だけでなく、様々な学習や仕事にも応用できる考え方です。
指導者のサポートと珠算式暗算の優位性
ーー練習はお一人で頑張られたのですか?
千葉さん: いえ、石戸会長にもご指導を仰ぎ、今回引率していただいた大野先生がメインで指導してくださいました。大野先生はいろいろな世界大会の経験者でもいらっしゃるので、”大会問題の攻略法”をご存じです。大野先生のもとで、途中で問題の解き方を変えたり、いろいろテクニックの面でもスピードの面でも”大会仕様”のアドバイスをいただいて、そこで修正することができました。
自宅は千葉の房総方面なので、大野先生のいらっしゃる緑ヶ丘教室までは遠いですが、学校が教室の近くにあり、学校が終了したあとに教室に行ったり、家から教室に向かって練習することがありました。普段は地元のそろばん教室に通っていますが、この期間は大野先生のところにも通わせていただきました。
大野先生は、技術面では、「世界各国が集まる中で珠算式暗算を使用しているのはとても珍しいので、10桁の加算や乗算では珠算式暗算が特に有利だ。そこで差をつけられれば勝てる」とおっしゃっていました。それを信じて頑張りました。
【珠算式暗算の国際的な優位性】
珠算式暗算は、日本で独自に発展した計算方法であり、国際大会において大きなアドバンテージとなることがあります。海外の選手が一桁ずつ計算を進めることが多いのに対し、日本の珠算式暗算は3桁×1桁のような複雑な計算も瞬時に行うことが可能です。
この独特の計算方法は、国際舞台で日本の選手が活躍できる要因の一つとなっています。
世界大会での貴重な体験
ーー実際に世界大会に参加してみていかがでしたか?
千葉さん: 海外の方のモチベーションがすごく高いのが最も刺激的でした。1日目の大会が終わった後、自由な時間があるんですけど、そこで絶えず練習をしている姿を見て、自分も見習わなければと思って、その後練習したりしました。
実際に他国の選手とも交流する機会があって、お互いの計算方法だったり、練習方法だったりを紹介して、能力を高め合うことができました。言葉の壁はありましたが、数字は世界共通なので、計算を通じてコミュニケーションが取れました。
大会の種目の中では、ルート計算が特に大変でした。初めてルート計算をやったのは小学校2年生ぐらいだったので、そこから10年ぐらい経ってほぼ何も覚えていない状態でした。それを理解するのが難しくて、練習の時からなかなか手が付けられませんでした。
ドイツまでの遠征もとても印象に残っています。14時間フライトで、首とか痛くなって大変でした(笑)。飛行機に乗るのは一度しかなかったので、それも含めて貴重な体験でした。でも、とても楽しかったです。
家族の温かいサポートとそろばんとの出会い
ーーそろばんを始めたきっかけを教えてください。
千葉さん: 年中の10月、4歳の時に始めました。一番上の兄がもともとそろばんを習っていて、とても楽しそうだなと思って、どうしてもやりたくて、お母さんに声をかけました。
自宅のお風呂に掛け算九九の表が貼ってあって、それを見るのが好きでした。もともと算数や数字が大好きだったんです。家族みんながそろばんをやっていたので、ちょっとした計算で困ることがなく、スムーズにできるのがとても良かったです。
今回の大会に向けても、家族の理解がすごくあたたかったです。夜遅くまで練習することもあったので、母がコーヒーを作ってくれたり、精神的にもサポートしてくれました。練習プリントもコピーしてくれたりして、それが支えになりました。
【家族のサポートが与える影響】
お子さんが何かに打ち込む際、家族の温かいサポートは大きな力となります。夜遅い時間まで頑張るお子さんに温かい差し入れを用意してくれた、必要なものを準備しておいてくれていたなど、日々の小さな気遣いや支えが、お子さんの心の支えとなり、家族の愛を感じる記憶となって成長を大きく後押しします。
お子さんの頑張りを見守り、必要な時に手を差し伸べる姿勢は、どんな状況でも子どもたちの力になるでしょう。
ーー海外遠征、費用面でのサポートはどうされましたか?
千葉さん: 金銭面ではいしど式からの援助もありましたが、僕自身もそろばん教室で指導のアルバイトをしているので、その時間を多くして、少しでも家族の負担を減らせればと思いました。
実は小さいとき、世界大会に先に羽ばたいていくライバルたちを見て、「いつか自分も」と、大会出場貯金みたいなものをやっていた時期もあります。今ではちょっとくすぐったいエピソードなのですが、小さいころからの憧れの舞台だったので自分の力で切り拓きたい思いが当時からあったのだと思います。
そろばん学習の多岐にわたる効果
ーーそろばんを学んで、日常生活で感じるメリットはありますか?
千葉さん: 暗算は記憶するものでもあるので、記憶力や瞬間的な集中力が勉強に活かされています 。数学はもちろん、計算が早くなるのでより得意に感じますし、社会や理科などでも暗記をする時に、数字に強いからこそできるものもあります 。
実際に体感しているところだと、そろばんで培った集中力や記憶力が、他の教科の勉強にも良い影響を与えていると思います 。特に数字を扱う場面では、他の人よりも素早く正確に処理できるので、それが自信にもつながっています 。
【そろばん学習が育む能力】
そろばん学習は、単なる計算能力の向上に留まらない、多岐にわたる教育効果が期待されています。
- 集中力・持続力の向上: 長時間集中して問題に取り組むことで、集中力が養われます。
- 記憶力(特にワーキングメモリ)の強化: 暗算では数字を一時的に記憶し操作するため、ワーキングメモリが鍛えられます。
- 数的処理能力の向上: 複雑な計算を素早く正確に行う能力が身につきます。
- 空間認識能力の発達: そろばんの珠の動きをイメージすることで、空間認識能力が活性化されます。
- 右脳の活性化: 暗算時に右脳が活発に働くことが研究で示されており、これにより創造性やひらめきにも良い影響があると考えられています。
これらの能力は、学校の勉強だけでなく、日常生活や将来の様々な場面で役立つ汎用性の高いスキルとなります。
挫折を乗り越え、さらなる成長へ
ーーそろばんを続ける中で、辛い時期はありましたか?
千葉さん: そろばん教室でライバルたちが海外大会に出場するのを見て、悔しい思いをしたことがありました 。涙が出そうになったこともありましたが、それを逆手に取ってというか、次は自分が出れるように普段よりもさらに集中して練習に取り組もうという気持ちになりました。
あの時の悔しさがあったからこそ、今回のチャンスを大切にできたと思います。目標があることで、練習にも身が入りました。
【挫折を成長の糧に】
お子さんが何かでつまずいたり、悔しい思いをしたりした時、その経験をどのように捉えるかがその後の成長に大きく影響します。千葉さんのように、悔しさをバネにして次の目標を設定するとは、より大きな成長へとつながります。失敗や挫折は、新たな一歩を踏み出すための大切な学びの機会となるのです。
番外編:菅田将暉さんとのまさかの出会い?!
ーーそろばんの実力をお披露目する場所として、お姉さんが千葉さんをメディアに応募したことがあるとか。
千葉さん: 実は、僕が小学生の時、姉が菅田将暉さんのファンで、僕が知らない間に映画『となりの怪物くん』のイベントに勝手に応募されていたんです。
そのイベントは「一芸秀でているものを持っているキッズ」の募集で、倍率が高かったらしいのですが、僕は英語読み上げ算大会を披露して勝ち進み、その後フラッシュ暗算の披露に変わったんです。最終的には菅田将暉さんと土屋太鳳さんに会って、お二人の目の前で暗算を披露することになりました。
お姉さんはそれを見て「最高!」と言っていました。僕が楽屋で菅田将暉さんとタッチしたことを話すと、僕の手を握って「菅田将暉と握手したんだよ!」と、とても喜んでいました。
【思わぬチャンスが広がることも】
そろばんを続けていると、思わぬところでその能力が役立ったり、特別な機会に恵まれたりすることもあります。千葉さんのように、ご家族の応援や、日頃の努力が予期せぬ喜びにつながることもあるのですね。お子さんの可能性は無限大です。
これからそろばんを始めるお子さんへ
ーーこれからそろばんを始めたいと考えているお子さんや親御さんにメッセージをお願いします。
千葉さん: そろばんは目標が明確で作りやすいものです。どのレベルでも自分が到達したい目標を立てて、そこに向かって頑張るだけで、自分にとって実りのあるものになると思いますし、それだけで人生の楽しみが増すと思うので、ぜひやってほしいなと思います。
僕は4歳から始めましたが、早く始めることで数字に親しむ習慣ができました。でも、何歳から始めても遅くはないと思います 。大切なのは、本人が興味があるときにたっぷり楽しめることと、家族がそれを一緒に楽しみ、しっかりとサポートしてあげることだと思います。
我が家では、お風呂に九九の表を貼ったり、家族みんなで計算の話をしたりしていました。特別なことをする必要はなくて、日常生活の中で数字や計算を楽しむ雰囲気を作ってもらえると、お子さんも自然と興味を持つと思います。
【家庭でできる簡単サポート】
- お風呂やトイレに数字のポスターを貼る
- 買い物の時に簡単な計算を一緒にする
- 「今日は何問できたの?」と練習の成果を聞く
- 頑張った時は具体的に褒める
- 夜食や飲み物で体調面をサポートする
まとめ:継続と家族の絆が生んだ成功
4歳から始めたそろばんが、18歳の千葉さんを世界の舞台へと導き、素晴らしい成績を納めました。彼の体験談から学べることは、継続することの大切さと、家族のサポートがあれば夢は実現できるということです。
千葉さんが示してくれた道筋は、これからそろばんを学ぶお子さんたちにとって大きな励みとなるでしょう。数字と向き合う楽しさ、目標に向かって努力する大切さ、そして家族の絆の素晴らしさ。そろばんを通じて学んだこれらの価値は、きっとお子さんの人生を豊かにしてくれるはずです。
「そろばんは目標が作りやすく、どのレベルでも自分なりの目標を持って取り組めば、必ず実りのあるものになる」という千葉さんの言葉は、習い事選びに悩む方々への心強いメッセージでもあります。お子さんの可能性を信じて、一緒に歩んでいきましょう。
そろばん学習で開花する、お子さまの無限の可能性
いしど式そろばん教室は、長年にわたり子どもたちの才能を引き出してきた実績と、全国各地に広がるネットワークを持つそろばん教室です。
計算力や集中力といった基礎学力はもちろんのこと、お子さまが将来社会で活躍するために不可欠な、自己肯定感や社会性、そして困難に立ち向かうチャレンジ精神を育む「自立・自律」に力を入れています。
未就学のお子さまから小学生まで、どんなお子さまでも安心してそろばん学習を始められる、「第二のお母さん」のようなあたたかい先生と、丁寧な指導環境が整っています。誰にでもわかりやすい独自のカリキュラムは、そろばんの技術習得だけでなく、お子さま一人ひとりの習熟度に合わせ、可能性を最大限に伸ばすことを目指しています。
そろばん学習を通して、数字に親しみ、目標達成に向けて努力することの大切さを学び、自信と自立心を育んでいきます。これらの経験は、将来、学習面だけでなく、社会に出てからも大きな糧となるでしょう。
いしど式そろばん教室では、各教室で体験入学を随時受け付けています。「うちの子にそろばんが合うか心配」「どんな先生が教えてくれるの?」そんな疑問をお持ちの保護者さまも、ぜひ一度、実際の授業風景や先生の雰囲気を肌で感じてみてください。体験を通して、お子さまの新たな才能や可能性を発見できるかもしれません。
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