教育・子育て

2025/05/29

AI時代の金融リテラシー革命――そろばん教育が拓く「数的生存力」と未来

AIが金融を支配する時代、人間に求められるのは「数字を読み解く力」です。

慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本長期信用銀行、日本興業銀行、東京海上日動火災保険など多様な金融機関でキャリアを積まれた小野寺裕之さんに、金融現場などでの実体験からそろばん教育がどのように未来の金融リテラシーを育むのか、その可能性と実践法をお聞きしました。

全国珠算教育連盟十段位を持ち、そろばん日本一を3年連続で達成した珠算のプロフェッショナルであり、現在は社会保険労務士や証券アナリスト協会検定委員としても活躍されている小野寺さんと、そろばん指導や金融教育を通じてAI時代に求められる「数字を読み解く力」や「経済を生き抜く力」の育成について考えます。

 

なぜ今、金融リテラシーが重要なのか

AI社会と「お金を読む力」

AIやデジタル技術が急速に発展し、私たちの暮らしや仕事は大きく変化しています。銀行や証券会社ではAIが膨大なデータを瞬時に処理し、家計簿もアプリが自動で管理してくれる時代です。しかし、だからこそ「数字」や「お金」の意味を自分で理解し、判断できる力――すなわち金融リテラシーが、今まで以上に不可欠となっています。

金融業界で長年活躍し、そろばん日本一の経験を持つ小野寺裕之さんはこう語ります。

 

「AIが計算してくれるからこそ、その結果を“どう読むか”が人間に求められる。数字の羅列を見て、そこから社会や経済の動きを読み解く力が、これからは本当に大切になります」

 

たとえば、スーパーでキャベツの値段が変わる理由や、ニュースで円安・円高が話題になる背景。こうした日常の経済現象を「なぜ?」と考え、自分なりに納得できる力が金融リテラシーの土台です。今の子どもたちは、家で経済の話をする機会が減ってる、だからこそ早い段階から数字やお金の仕組みに触れることが大切なのだと。

 

そろばんが育む「数的直感」と現代的思考力

そろばん脳の優位性――金融の現場での実体験

小野寺さんが銀行員時代に体験したエピソードを紹介します。

 

「国債のディーリング業務では、1日で数十億円規模の決済金額照合が必要でした。当時はまだシステム化が進んでおらず、暗算力が必須。そろばん式暗算で培った『数値のパターン認識能力』が、ミスゼロの実績を支えました」

 

さらに、国際金融の現場でも日本人の計算力は驚きを持って受け止められたといいます。複雑な金利交渉や手数料計算を瞬時に暗算することで、交渉力そのものが高まったのです。

 

脳科学が解明する「数的直感」

東京大学の研究によると、そろばん熟練者が暗算を行う際には、空間認知や意思決定に関わる脳領域が同時に活性化することが分かっています。これは、金融取引時の瞬時のリスク判断や、市場変動時の冷静な対応に不可欠な神経基盤です。

 

数字をイメージで捉える力

そろばん学習では、数字を「イメージ」として捉える力、すなわち「数感」が育ちます。

数字が図形やグラフのように頭に浮かぶことで、複雑な数値情報を直感的に全体像として把握できるようになります。たとえば、株価や経営指標の数字を見たとき、バラバラの数字やただの数字の羅列ではなく、全体像や流れを直感的につかめるようになります。これはAIが計算結果を出しても、それを「どう読むか」「どう判断するか」という人間ならではの能力です。

つまり、そろばんを続けることで「数・数量・言葉」が一致して、数字の裏にある「価値」や「量」も自然と理解できるようになります。これは日々の買い物や、将来の資産運用、ビジネスの現場でも役立つ力です。

データで見る「そろばん教育」の経済的インパクト

生涯賃金にも差が出る、数的リテラシー

OECD(経済協力開発機構)が2018年に実施した国際成人力調査(PIAAC) によると、数学的リテラシーが高い成人は、そうでない成人に比べて生涯賃金が約4,000万円高いというデータがあります。
また、金融庁の調査では、そろばん経験者の78%が「家計管理に自信がある」と回答。非経験者の37%を大きく上回ります。インフレ対策意識や資産形成の実践度にも明確な差が見られます。

 

金融リテラシーの国際比較と日本の課題

OECDの金融リテラシー国際比較調査では、日本の15歳は「実践的金融判断力」で38カ国中22位と低迷。特に「複利計算の応用」や「リスク分散の理解」で課題が顕著です。日本の伝統的なそろばん教育が、現代的な経済教育と融合すれば、こうした課題の克服にも大きな可能性が広がります。

 

そろばん教育がもたらす「自己成長」と「社会で生き抜く力」

小さな成功体験の積み重ね

そろばん学習の特徴は、「スモールステップ」で達成感を積み重ねることができる点です。昇級・昇段試験や大会での成功・失敗を繰り返す中で、子どもたちは「もっとできるようになりたい!」という意欲を育みます。

 

「なぜできなかったのか」「どうすれば次はうまくいくか」と自分で考える。この経験が自然とPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回す力につながります。社会に出てからも『自分で考え、行動し、改善する』力はとても大切です」

 

失敗や挫折も経験しても、そこで「なぜできなかったのか」「どうすれば次はうまくいくか」と自分で考えるようになります。社会に出てからも「自分で考え、行動し、改善する」力はとても大切です。

 

非認知能力の育成

そろばんを通じて、集中力、忍耐力、記憶力、情報処理能力など、AI時代にも必要とされる非認知能力がバランスよく育まれます。これらは金融リテラシーの実践や、変化の激しい社会で自分の頭で考え抜くための「生きる力」となります。

 

根源は渋沢栄一「論語と算盤」

「理のある富の稼ぎ方は、良い稼ぎ方」ーー

日本では富を稼ぐことにマイナスイメージをいただく人も少なくありません。しかし、渋沢栄一は「理のある富の稼ぎ方は、良い稼ぎ方」と説き、正しい道理に基づき社会に貢献することで得られる富こそが、真に価値あるものだと考えました。

単なる金銭欲や自己利益の追求ではなく、公益や倫理を伴った経済活動が社会全体の発展につながると強調しています。渋沢は、お金は社会の力を表す道具であり、集めるだけでなく善用することで、社会を活発にし人々を幸せにできると述べています。

つまり、富を得ること自体が悪なのではなく、その過程や使い道にこそ本質があるのです。
現代においても、利益と道徳を両立させる渋沢の思想は、持続可能で健全な経済社会を築くうえで大きな指針となっています。

小野寺さんは少年期にであったこの言葉こそ、今の自分を作っていると語ります。

 

家庭・学校で始める「そろばん×経済」教育

 

親子で学ぶ金融リテラシー

家庭でできるおすすめの習慣をいくつか紹介します。

  1. スーパーマーケット経済学:価格変動の理由を親子で議論
  2. ニュース数値分解:経済指標をそろばんで再計算
  3. 仮想ポートフォリオ管理:お小遣いの10%を模擬投資
  4. 歴史的経済事件のシミュレーション:バブル経済を数値で再現
  5. AIとの計算対決:ChatGPTと暗算速度を競う

 

小野寺さんは、保護者向けの金融教育ワークショップも行っています。その中でも、親子で一緒に学ぶことが何より効果的だと言います。たとえば、ニュースを一緒に見て「円安・円高って何?」「なぜ物価が上がるの?」と話し合ったり、買い物のときに「この値段はどうして決まるのかな?」と考えたり。
そうした会話が、子どもの“気づき”や“興味”を引き出します。
そろばんで数に強くなった子どもなら、数字の裏にある仕組みも理解しやすくなるうえ、家庭での金融リテラシー教育は、知識だけでなく「お金の価値」「働く意味」「社会の仕組み」への理解を深めます。AI時代には「自分で考え、判断し、行動できる人材」が求められます。親子で学び合う姿勢がさらに重要になってきます。

 

そろばん学習をもっと楽しくー「クリスタルそろばん」

「クリスタルそろばん」は、従来のそろばんにスワロフスキーの装飾を施した美しいデザインが特長で、学びのモチベーションを高める新しい教材です。
アクリル素材を用いた軽量で扱いやすい設計は、子どもから大人まで幅広い世代に親しまれています。

 

小野寺さんは、このクリスタルそろばんを通じて、そろばん学習の楽しさや伝統の魅力を国内外に発信し、より多くの方が「数を学ぶ喜び」に触れられる環境づくりに力を入れています。

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まとめ――AI時代の羅針盤としてのそろばん

 

AIやテクノロジーが進化しても、「数字の意味を読み解き、社会の仕組みを理解し、自分の頭で考え抜く力」は人間にしかできません。そろばんは、計算力だけでなく、集中力、記憶力、情報処理能力など、子どもたちの成長に不可欠な能力を育む“秘密兵器”です。そろばん教育が育む「数的直感」は、金融プロフェッショナルの実体験と科学的エビデンスが示すように、この伝統的な教育法はAI時代の金融リテラシー育成において新たな光を放ちつつあります。

 

「そろばんは計算力だけでなく、経済の本質を見極める『数的第六感』を育む。これはAIが代替できない人間の核心的な能力だ」

 

伝統と革新の融合から生まれる新たな金融リテラシー教育が、不確実な未来を生き抜く子どもたちの羅針盤となるでしょう。

 

将来の社会を生き抜くために、いしど式そろばんを通じて数的直感をみがきませんか?

そろばんを通じて「自分にもできる!」という自信や、「難しいことに挑戦し乗り越える力」が自然と身につきます。計算力はもちろん、集中力、情報処理能力など「生きる力」を身に着けられ、数字にも強くなります。

日々の学習だけでなく、日常生活でも大いに役立つ「数的直感」を身に着けるためにも、いしど式でそろばんを学んでみませんか?

いしど式では【イメージコントロール法】という手法を取り入れています。前向きな褒め言葉で自己肯定感を養い、心も身体も影響も最大限に力を発揮できるよう、良い部分を見つけて伸ばしてあげるよう声掛けをしています。
また、いしど式の掲げる「自立」と「自律」は、将来自分の力で生きていく上で必要な力を身に付けることにも通じています。

毎日の生活が数字を通して楽しくなる体験を、そろばんで感じてみませんか。

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