教育・子育て

2022/09/05

小さい頃から教養を身につける方法とは

「あの人は教養がある」というとき、どんな人を想定していますか?学歴がある人?頭がいい人?いろいろなことをよく知っている人でしょうか。教養とは一体どんなものなのでしょうか。また、教養を小さい頃から身につけるにはどうしたらいいのでしょうか。

◎教養=いわゆる知識
「教養」を広辞苑で調べてみると、次のような記載があります。
(1)教え育てること
(2)単なる学殖・多識とは異なり、一定の文化理想を体得し、それによって個人が身につけた創造的な理解力や知識。その内容は時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる。文字通りの意味ですが、これでは少し分かりにくさが残ります。

◎教養=いざというときに役に立つ知識
社会事象のすぐれた解説者として定評がある池上彰氏。彼は『池上彰の教養のススメ』という本で、すぐには使えない知識が教養であり、それが重要であると述べています。

池上氏は「すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる」として、答えが決まっているような通りいっぺんの知識を身につけるのではなく「教養」を身につけて自ら問題解決にあたれる人材にならなければいけないとしています。

今の教育は、まさに「自ら課題設定して、自ら考え創造する力」を育むことを目標にしています。池上氏の言う「教養」が今必要とされていると考えてよいでしょう。

また、池上氏はあるラジオ番組の中で、学生時代は役に立たないと思っていたことが、社会に出てから役に立つことがある。そういう体験をたくさんしておくべきだとも言っています。教養とは、知識だけでなく、もっと広く体験や経験まで含むものといえそうです。

大学の教養学部で教えていること

◎日本とアメリカの教養学部
アメリカの大学ではリベラルアーツといって「教養」を学ぶことが重視されています。専門科目の勉強は大学院へ進学してから行なうというのがアメリカの大学です。一方、日本の大学で教えるのは、どちらかというと「実学」。実学とは、法律や経営などビジネスにすぐ役立つ学問をいいます。

日本の大学でも、入学時に学部選択しますが、1、2年次の前期課程は教養課程となり、いろいろな分野を横断的に勉強してから3年次に後期課程として専門科目を履修するのが一般的です。「教養学部」を明確に設けているのは東京大学とICU(国際基督教大学)ですが、後期課程まで教養学部を持つのは東京大学のみです。ちなみに、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏は、1967年に東京大学教養学部を卒業しています。

教養学部もしくは教養課程で学べるのは、文系・理系の垣根を越えた学問です。自然科学・社会科学・人文科学の広きにわたって学際的なことがらを勉強できます。いろいろなジャンルの学問に触れることで自分の関心をみつけ、将来の仕事へとつなげていくことができます。

◎生きる力を身につける
こうして見てくると、教養とは今すぐ目の前で役に立つ知識というよりも、いろいろなことに触れて考える力、何かあったときに自ら答えを出して行動できる力、幅広い意味で「生きる力」のこと、つまり知恵のようなものであるといえるでしょう。

教養の身につけ方

◎本を読む
教養は大学にいかなくては身に付かないものではありません。子どもの頃から少しずつ長い年月をかけて身に付けていくものです。最も身近な方法は、本をたくさん読むこと。読書は自分の経験の幅を広げてくれますし、創造力を高めてくれます。親の読み聞かせからスタートして子どもを本好きにすれば、将来子どもが教養を養う足がかりを作ってあげることができます。

◎経験をする
真の教養とは、単なる知識の集積ではなく、それを実際に使いこなせることをいいます。知識と実践があってはじめて教養が身に付いているといえます。そうなるためには、いろいろなことを実地で経験することが大事です。

◎何かに打ち込む
子どもの頃の経験は、学校だけでなくスポーツや習い事でも得られます。子ども時代に打ち込めるものを見つけ、一生懸命に取り組んだ経験がある子は、大人になってからも困難にめげずに踏ん張ることができます。野球やサッカー、ピアノやそろばんなどを一生懸命習い、目の前の課題を乗り越える経験を積むことで、将来幅広い教養を身につける素地ができます。

まとめ

教養とは、一人でも問題に対処し生き抜いていくための知恵といえるものです。

そういう意味では、人は一生をかけて教養を身につけていくのだとも言えます。小さな頃から読書や経験を積ませて、ぜひ身につけてあげたいものですね。

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