日本では、子どもの習い事として定着しているそろばんですが、海外でもそろばん教室があるの?外国人でもそろばんを習っている人がいるの?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
近年脳の発達にそろばんが役立つと研究され、世界中で注目されるようになりました。
日本でもそろばんの習熟度を計るひとつとして、大会が盛んに行われています。世界中にそろばんが広まるにつれ、世界各国でも日本同様大会が開かれるようになってきました。
そこで今回は、いしど式を代表して沼田先生自らルーマニアでのそろばん大会を視察してきました。世界中ではどのくらいそろばんが浸透しているのか、大会は日本のそれと似ているのか、それとも大きく違っているのか、その様子をご紹介します。
目次
海外のそろばんは、どのくらい広まっている?
そろばんは、室町時代に中国から日本に伝来しました。ルーツは、中国ですから、アジア圏では、今もそろばん教室があり、そろばんが出来る人が大勢います。
中国、台湾、韓国、シンガポールあたりは、日本と同じように、街中やショッピングモールにそろばん教室があります。
また、明治時代に多くの日本人が移住したブラジルでは、今もそろばんが盛んにおこなわれています。
アメリカでも同様に、日本からの移住が多かったカリフォルニアなどの地域には、そろばん教室があり、今も大勢の子ども達がそろばんを学んでいることにくわえ、数の基礎を学ぶツールとして、アメリカの公立小学校でそろばんを取り入れているところもあります。
トンガでは1989年からJICA(国際協力機構)が珠算の指導者を青年海外協力隊として派遣してきた経緯があり、公立の小学校で必修科目となっています。
盛んな地域と、知られていない地域の差はありますが、世界の様々なところで、そろばんは学ばれています。
ルーマニアのそろばん教室
ルーマニアのシビウ市には「いしど式そろばん LOGI CLUB」があります。
オーナーのアンドレア先生を含め、8名の講師がそろばんを教えています。
8名全員がルーマニア人。
開校して間もなく、コロナで都市がロックダウンしたことを受けて、いち早く授業をオンラインに切り替えました。その影響もあり、現在学習する生徒さん達は、シビウ市以外の都市から通う生徒もいます。国境を超えて、スペインやイタリアからオンラインのみで学習している生徒もいます。
誤算発見の研修を受けているところです。数学の先生も参加をしており、理解も早く、数学的見地からそろばんの仕組みや良さを理解しています。
LOGI CLUBの教室入口とその前の通りの様子です。教室は、閑静な住宅街にあります。
教室には、3つの部屋に分かれており、難易度に合った練習ができるようレベルごとにクラス分けされています。
1コマあたり、10名程度の生徒が学習をしています。
いざ、そろばん・暗算ルーマニア大会へ!
大会名は、そろばん・暗算ルーマニア大会
【SOROBAN AND ANZAN ROMANIAN COMPETITION】
レベル別に構成されたクラスを4回の入替制で10時~18時まで行われました。
2023年5月27日 約70名の選手が参加しました。
主催は先ほど紹介した教室、LOGI CLUBです。
共催の一般財団法人全国珠算連盟は、そろばんモチーフのトロフィーを用意し、後援の株式会社イシドは、日本のお菓子や、ルーマニアでも人気「しろっくまくん」のキャラクターグッズを参加賞として用意、応援しました。
在ルーマニア日本国大使館も後援となり、この大会を応援してくれています。
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日本との違いは、たし算、ひき算を学習中の初心者の生徒さんも参加をしていること。
練習をしている級を基準に、参加クラスが編成されています。
そろばんを始めて間もなくても、
- 成果を確認すること
- 練習の動機付けになること
- 応援してくれている保護者さんへのPR
など、参加のメリットは多くあります。
大会当日
大会スタート前、生徒達は表情も身体もガチガチでした。
なぜなら、LOGI CLUBに通う生徒にとって、初めてのそろばん大会だからです。
生徒さんだけではありません。保護者の方々も相当緊張している様子がうかがえました。
その緊張感がどれほどかを感じたのは、遅刻者が0人だったこと。
遠くから来る生徒もいますし、1分単位の時間で正確に動く日本人の気質とは違います。また、部門ごとの交代制で、入替時間は10分程度しかありません。
さらに、日常的に車の渋滞が激しいルーマニアですが、1日を通して誰一人、遅刻をしてくる人はいませんでした。それは、この大会に参加することを、どれほど重要視しているのかをあらわしているのではないでしょうか。
それほどに、参加する方々が緊張感を持って挑んだ大会です。
そして、この大会を盛り上げるためにも、日本から来た我々3人は、和服を着てお出迎えをしました。シビウは東洋人自体を見かけることの少ない町です。
感動の表彰式
かけ算、わり算、見取算、暗算 4種目の競技を終え、成績発表となります。
賞状とトロフィーを手に、ガッツポーズするその笑顔は世界共通。
緊張でこわばった表情とは一変して、興奮気味に、頬を赤らめながら賞状を受け取る選手たちは、みんな誇らしげでした。
入賞賞品は、日本のお菓子や、しろっくまくんの文房具。
誰一人、忘れていく人はおらず、大切そうに抱えていました。
そして、お迎えに来た保護者の皆さんは、トロフィーを手にした我が子を ハグ、ハグ、ハグの嵐。「まぁ、なんて素晴らしいの!」「よく頑張ったわね」「あなたは、私の誇りよ」「ブラボー」と、子どもを褒めまくります。
日本人もこれくらいオーバーリアクションで、子ども達を褒めてあげられたらいいですね。
そろばんを通じて、世界に羽ばたく人材と夢を育てるいしど式。
ルーマニアでも、たくさんの子ども達が、そろばんを通じて成長している姿を見ることができました。
そして、そろばんを教える先生達も、熱心に学び、生徒さん以上の努力をしています。
数年後には、ルーマニアから多数の有段者も出現することでしょう。
そろばん学習の効果は、計算だけではない
IT社会が加速する中で、理数系人材をより多く育成する必要性からSTEAM教育が需要視されています。その中で、数の基礎教育として、注目を集めるそろばんですが、その価値は、非認知能力(テストで計れない、積極性や、粘り強さ、意欲など社会情緒スキル)においても発揮されます。
その大切さと価値をアンドレア先生は、充分に理解し、色々な形で、子ども達に伝えています。
例えば、この LOGI CLUBに掲げられているSOROBANルール。
SOROBANの頭文字をとって、生徒さん、そして、先生のルールとして
学習のために大切なスピリッツを提唱しています。
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アンドレア:私たちのそろばん教室のルールです。
全生徒が私たちの授業で守るものです。
(生徒たちのルールでもあり先生のルールでもある)
「そろばん(S・O・R・O・B・A・N)」という文字の頭文字から取っています。
※標語はルーマニア語を元に制定されていますが、この記事ではわかりやすいよう単語を英語に変換して表記しています。
S (団結する)Spirit of team
O (気づく・励ます)Observation and Encourage
R (尊重と我慢強さ)Respect & Patience
O (誰にでもできる)Anybody can
B (楽しむこと)Having fun
A (よく聞いて練習に励む)Attention & Training
N (支えあう)Supporting each other
そろばんを知らない人たちが、どうしてそろばんを習いに来るの?
首都のブカレストでは、ロシア系など日本以外のそろばん教室がいくつか展開をしていて、教育熱心な親などは、そろばんの有効性に気づいています。しかし、ルーマニア全体、シビウ市では、そろばんを知っている人が多いとは言えないでしょう。
そのような中で、どうやって生徒募集をしているのかを、アンドレア先生に伺ったところ、とても有効な宣伝方法があると話してくれました。
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アンドレア:
私たちにとって最も良い宣伝は、(そろばん教室に)満足している親御さんとそのお子さんが周りに伝えることです。
子どもが学校でそろばんでの計算や暗算を見せると、先生や周りの子たちみんなが驚きます。
「どうやって計算しているの?」「どこで学んだの?」と聞いてきます。
そうしてその子たちは家に帰ったら親に言うのです。
「ママ!ぼくの同級生の子がそろばんっていうのをやってるの!」
「私もあんな風に暗算できるようになりたい!」と。
その話を聞いた親が私たちを見つけ、連絡してきます。
「もしもし、私もあなたと一緒に学びたいです」
「来期からうちの子もそろばん習わせていただけませんか」
一人の生徒(と両親)が満足してくれることで、
少なくとも10人の問い合わせを生み出してくれます。
これが最も良い宣伝方法であり、
ビジネスを継続できる秘訣なのです。
そろばんは外国人を驚かせる
1860年 日米修好通商条約のため渡米した小栗忠順が、懐からそろばんを取り出し計算をした姿に、アメリカ人が驚いたという話は有名です。
アメリカの新聞《ザ・フィラデルフィア・インクワイヤワ-》にも、下記の記事が掲載されました。
「日本の高級役人はアバカスをもっていた。
五つずつの木製のボタンが15個並んでいる。 日本の監察官オグロ.ブンゴノカミは会議が始まると、 そのボタンをあっちこっちに滑らせ、恐るべきスピ-ドで計算をしていた」 |
ジュニアゴルフで4大メジャーを制覇した須藤弥勒ちゃんも、海外ツアーの際、参加選手の交流会などで暗算を披露すると、拍手喝采で大いに盛り上がると言います。
世界中でますます注目が集まるそろばん、やっておいて損はない!
そろばんは、暗算力がつき、計算が早く正確になるだけでなく、記憶力や集中力、忍耐力、自信なども身につきます。
さらに思考力や表現力も向上させることができ、脳力開発のツールとして、老若男女問わず、世界中で注目されている習い事になっています。
数字は世界共通の言語です。そろばんを始めることで、世界中の人たちと同じ大会で切磋琢磨できることもあるかもしれません。
ぜひ一度、そろばんの体験をしてみませんか?楽しくて驚くような発見が待っていますよ!
まずはいしど式そろばんを無料体験してみよう!:いしど式そろばん
全国どこからでも!オンライン教室も受付中:いしど式オンライン
自分のペースで学習が進められるeラーニングもあります:インターネットそろばん学校
【おまけ】美しいルーマニアシビウの町と観光情報
ルーマニア トランシルバニア地方の都市「シビウ」
私たちは今回、ルフトハンザ航空で、ドイツミュンヘンを経由してシビウの空港に到着しました。
羽田からミュンヘンまで約15時間、ミュンヘンからシビウまで約2時間、トランジットを含めると、到着までほぼ24時間かけて向かいました。
現在は、ロシア上空を避け北極のほうまで迂回していましたので、通常よりも飛行時間は長くかかっています。
食事は、癖のある香辛料などもなく、日本人の口によく合います。ただ、その量がとにかく多い!
ちょっとしたレストランでは、「せめて前菜とメイン、デザートをオーダーするのがマナーよ」と、言われましたが、サラダだけでも日本だと3~4人用ぐらいのサイズなので、前菜だけでお腹がいっぱいになります。
↑ 中世の街並みが続く旧市街地は、どこで写真を撮っても絵になります。私たちが訪れた5月は、なんと夜9時まで外が明るく、10時を回るころに空がこのような深い青色になりました。
↓ 次は住宅街。屋根にある通気口が、目のように見えます。目つきが悪いし、見張られているようで、ちょっと怖い、、、
童話の世界に出てきそうな素敵な雰囲気の建物で、今にも家がしゃべりだしそうです。
観光名所の「うそつき橋」。うそつきがこの橋を渡ると、橋が落ちてしまうとう伝説があります。恋人たちは、ここで告白や結婚の約束をするそうです。
結婚式をここで挙げようとしたら、男がとても嫌がっていて、「やっぱり浮気をしていたのよ」なんて、話しも聞くことができました。