働き方ガイド

2022/09/09

パートも社会保険加入が義務化?加入条件やメリット・デメリットを整理しよう

パートとして働く場合、労働時間や収入、働き方によって配偶者の扶養に入ったままか、扶養を抜けて社会保険に加入するかの選択肢があります。社会保険への加入は正社員のみ、と考えている方も多いかもしれませんが、パートで働く場合でも場合によっては社会保険への加入が義務となることがあるため、注意が必要です。

この記事では、社会保険の概要や加入するメリット、デメリット、加入条件や加入手続き、さらに加入したくない場合のやるべきことについて解説します。

社会保険とは?

社会保険とは、国民の生活保障を目的として設立された公的な保険制度です。加入者がお互いに費用を出し合う(相互扶助)ことにより、被保険者が病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えられます。

 

社会保険とは、5つの保険の総称として呼ばれています。

①健康保険

②年金保険

③介護保険

④雇用保険

⑤労災保険

 

社会保険のメリット・デメリット

社会保険のなかでも、雇用保険と労災保険はまとめて「労働保険」と呼ばれ、雇用者はひとりでも労働者を雇えば加入する義務があります。介護保険は40歳以上の国民すべてが加入する義務があります。

 

一方健康保険、年金保険は働き方や収入などの条件によっては、加入しなくても良い場合もあります。加入すると社会保険料が給料から天引きとなるため、加入すべきかどうか迷う方もいるでしょう。

 

健康保険・年金保険に加入する場合も、あとから後悔しないようにすることが重要です。社会保険の健康保険、年金保険それぞれのメリット、デメリットを解説します。

 

①健康保険

健康保険は健康保険(健保)と国民健康保険(国保)があり、常時5人以上の従業員がいるなど適用事業所と認められているパート先で働く場合は健保、それ以外のパート先で働く場合は国保に加入することになります。

 

健保のメリットが、病気やケガ、出産などで仕事を休まなければいけないとき、賃金の3分の2程度の給付が受けられる傷病手当や出産手当です。国保よりも手厚い保障が受けられます。一方、別途保険料がかかるのがデメリットです。

 

健保の場合は会社が保険料の半額を負担してくれますが、国保は被保険者になる家族の数に合わせて保険料がかかるため、家族がほかに加入できる保険がない場合家族分の保険料もかかるデメリットがあります。さらに健保は給料天引きで支払われますが、国保は天引きされないため自分で納入しなければいけないのもデメリットです。

 

②年金保険

年金保険には国民年金と厚生年金があります。国民年金は20~60歳までの国民すべてに加入が義務付けられていますが、70歳未満で常時雇用されている人で条件を満たすと、厚生年金に加入することになります。

 

厚生年金に加入すると、将来年金を受け取る際に納めた分が厚生年金として上乗せして給付されるメリットがあります。ほかにも生涯厚生年金、遺族厚生年金、老齢厚生年金など、各場面に対応した年金が用意されているのもメリットです。国民年金は保険料全額を加入者が負担しなければいけませんが、厚生年金は勤務先(厚生年金事業主)と折半となるため、保険料が半分で済むメリットもあります。

 

厚生年金に切り替わると厚生年金保険料が発生しますが、将来の年金が上乗せになるなどのメリットもふまえて加入すべきかどうかを検討しましょう。

 

必要な加入条件は?

社会保険は国の社会制度のため、対象事業所であり、加入の条件を満たせば本人の意思に関わらず加入義務があります。(一部の個人事業所などで働く場合は加入が任意となる場合もある)

 

また、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、2022年10月から2024年10月にかけて段階的に社会保険の加入条件の拡大が計画されています。そのため、今後パート・アルバイトでも正社員のように加入が義務化される場合があります。

 

特設サイト:従業員数500人以下の事業主のみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省

 

次に、具体的な社会保険の加入条件を解説します。

 

①企業の雇用人数

今までは501人以上の企業のみに加入義務がありましたが、2022年10月には101人以上、2024年10月には51人以上と対象となる企業の範囲が拡大される予定です。

 

②就業状況

社会保険の加入条件となる基本の就業状況には、以下のものがあります。

1.学生ではない(就学中の場合は加入対象とならない)

2.週の所定労働時間が20時間以上になる

3.月額賃金が8.8万円以上(※1)

4.1年以上継続して働く見込み(※2)

 

※1:所定労働時間や賃金には臨時に支払われるもの(残業手当、休日出勤手当、賞与、結婚祝い金など)や交通費は含まれない。ただし、勤務時間が8時間未満で残業した場合の時間は含まれる。8時間未満での残業が多い場合は、みなし労働として所定労働時間が加算され、20時間を超えれば社会保険の加入対象となる。

 

※2:2022年10月以降「1年以上」から「2ヵ月超」に変更。さらに契約上の勤務期間が2ヵ月でも、更新の可能性が明示されている場合は2ヵ月を超えて使用される見込みがあるものと認められるため、加入対象となる「拡充変更」も計画されている。

 

どんな手続きが必要?

社会保険へ加入する場合、基本的には会社が手続きをしてくれるところがほとんどです。指示に従えば手続きを進められますが、社会保険の基礎知識として手続き方法を覚えておくのも大切です。社会保険の手続きについてかんたんに解説します。

 

■手続き:加入義務の事実が発生してから、5日以内に手続きをしなければいけません

■事前に用意しておきたい書類:

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②本人の年金手帳・基礎年金番号通知書(コピー)

③本人確認ができる身分証明書・マイナンバー(コピー)

④本人の認印

↓以下扶養する家族がいる場合に必要なもの

⑤(扶養する配偶者がいる場合)配偶者の年金手帳・基礎年金番号通知書のコピー

⑥(扶養する配偶者がいる場合)配偶者の認印

⑦年金手帳再交付申請書※年金手帳を紛失した方

⑧扶養親族全員のマイナンバー(番号だけでも可)

 

扶養親族の対象については、次に解説します。

 

「扶養親族の定義」をおさらい

扶養親族の対象となる人の年齢は「その年の12月31日時点での年齢が16歳以上の人」です。15歳未満の子供は扶養親族に含まれるものの、扶養控除の対象には含まれない点に注意をしましょう。15歳未満の子供が扶養控除対象とならない理由は、「児童手当(旧こども手当)」が支給されるためです。児童手当制度がスタートする以前は、15歳未満の子供も扶養控除の対象に含まれていました。

 

扶養親族に認定されるには、以下の条件を満たさなければいけません。

・納税者と同じ家計で生活をしている

・一定以下(年収103万円以内)の所得

 

かならずしも同一住所に住んでいる必要はなく、単身赴任をしているときや地方の学校に通うために一人暮らしをする子供などに仕送りをしている場合なども、納税者と同じ家計で生活していると認められます。なおかつ、アルバイトなどをしていても年収103万円以内である場合に「扶養親族」の対象となります。

 

なお配偶者はあくまで「配偶者」という括りであり、厳密に言えば「扶養親族」には含まれていません。

 

加入をしたくない場合は?

パートで働くなら、社会保険に入るかどうか迷う方は多いでしょう。加入対象とならないように、気を付けるポイントをまとめました。

 

①加入条件に気を付けて勤務する…自分自身でシフトの時間を調整し「週20時間」や「年収106万」を超えないようにする。

②労働時間や日数を正社員の3/4未満にする

③年収130万の壁を意識する…年収130万円を超えると親や配偶者の扶養から外れる。社会保険加入の条件を満たしていなくても(週の所定労働時間および月の所定労働日数は正社員の3/4未満)年収130万円以上で扶養を外れるため、自分で社会保険料を支払う必要が出る

④配偶者控除を受けている場合は年収150万以下なら満額の控除を受けられる

 

働き方に合った保険の選択を!

働ける時間やキャリアアップなど、働くときにはさまざまなシーンで保険制度の境目と出会います。多様な働き方が認められる背景から、女性の環境に応じた柔軟な働き方ができる企業が求められているといえるでしょう。

 

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